十六夜日記

鎌倉に行ったりはしない日記

地学オリンピック本選体験記

これは何?

 何でしょうね?

 第14回地学オリンピック(以下JESO)の本選で経験したことと感想です。

 

目次?

 

まず初めに

 本選をつくばで現地開催してくださりありがとうございます!!!3年ぶりらしい。来年も現地だと良いですね。

 

注意事項です

 この文章を書いている人は、何とかJESO本選に参加できているものの、知識が非常に曖昧です。1次予選も2次予選もボーダーギリギリの民です。この文章中において地学的な誤りが発見された場合、スルーするか優しく教えてください。

 

前日譚⓪(~0次予選「申し込み」)

 中1から中2、授業で地学基礎を習います。教室の電気を消してスライドを見る時間が長かったので、眠気との戦いでした。中1のときに先輩が開いてくださった競技科学紹介ソサエティでJESOの存在を知ります。そして忘れます。

 中3から高1、一切地学に触れていません。

 高2、僕は理系選択ですが、理科の授業選択で物理・化学に加えて地学を選択しました。どうやら本選参加者の学校でも地学を開講してないところは多いようで、僕は結構ラッキーな環境にいたようです。JESOの存在を思い出したので申し込みます。

 

前日譚①(~1次予選)

 授業ではまだ天文分野に辿り着いていなかったので、教科書*1を一通り眺めていました。同じく授業で使用している図表*2も眺めるつもりでしたが、長期休暇に入ったこともありサボっていました。多分原神*3してました。家でも勉強できるようにならないと受験がまずいです。

 結果は43点で、ギリギリ通過してました。ボーダーは42らしい?という話を聞いたり聞かなかったり。まがりなりにも地学選択者なので大変焦ります。

 ところで、1問1分の形式、ところどころ虚無の待機時間がありました。

 

前日譚②(~2次予選)

 図表を一通り眺めることにしたので、冬休み明けから毎日30ページずつくらいじっくりと読み進めていきました。じっくり読んだおかげか1周しただけでも結構内容が頭に残っていました。そのおかげで、2次予選は多分70点(全体で40~50位くらい?)でした。1次がギリギリの通過だった分、2次で余分に取らないといけなくて、2次のほうが配点が大きかったのもあってギリギリ本選に駒を進めることができました。

 もしここで落ちていたら、アノマロカリスをみて「エディアカラ生物群じゃん!」と言っていた試験中の僕を殴りに行っていました。

 

 予選突破を目指している人へ。知識量で言えば上述したように教科書と図表だけでも十分です。きちんと読みこんで理解すればOKです。まずは手に入れた教材をしっかり活用しましょう。

 

前日譚③(~3次予選「健康観察」)

 実は本校が学校閉鎖になっており、自分も体調を崩さないかとかなり心配していました。何ともなくて良かったです。

 

ここから本番!

 前日譚、いらなかった気もしてきました。やっと本選です。

 

day0(day1までにやったこと)

 これも前日譚かもしれません。対策についてです。友人から図録*4を借りていたので、それを一周しようと思います。思っていましたが、例によって原神の魔の手が……。八重神子引きたかったんですが、引けませんでした。悲しい。

 本当は鑑定試験の対策として学校の地学室の標本を眺めに行くことも計画していましたが、実行する前に学校が閉鎖されました。残念。

 

 ……あれ、もしかしなくても本選対策ろくにしてなくないですか?

 来年以降の本選参加者は、計画的に対策しましょう!

 

day1

 朝7時の起床に成功し、予定通りの新幹線に乗って秋葉原に向かいます。FFの方とお昼を一緒させていただきました。「(お店の)名前は何ですか?」という質問に「僕の名前は~~です!」と返す勘違いムーブをして恥ずかしかったです。

 つくばエクスプレス研究学園駅に向かい、そこから20人ほどがマイクロバスでホテルまで輸送されました。座席は人数分あったんですが、一般に2泊3日の荷物を持っているN人はN人分の座席に収まらないんですよね。とても狭かったです。

 ホテルに着いたらそのまま開会式とトップレクチャーがありました。45分×3の講義を聞くことができました。分野は鉱物・地震地震でした。個人的には3つ目のテーマがすごく興味がありましたが、座席の位置の関係でスライドの文字が見にくかったり、通信の問題なのか音声がやや途切れがちだったりで、ちょっと残念でした。

 day1はこれで終了でしたが、夕食後にちょっとした交流(10人くらいでコンビニに行く)が発生していました。コンビニはホテルから真っすぐ900m進んだところにありました。

 ところで、1/3ほどの参加者は別のホテルに泊まっていたんですが、どうやらそっちのホテルの方が設備が整っていたようです。代わりに僕たちより朝の時間が30分以上早かったそうなので、トントンですね。そういえば部屋の鍵が中々開けられなくて困っていました。

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 さすがに試験前日の夜なので対策をします。といっても今から覚えようと足掻くのも厳しそうだったので、せめて時間配分や解答の仕方に慣れるために本選の過去問を解きました。ただ、自室で1人で過去問を解いているのが寂しく感じられたので、Vtuberの配信アーカイブを見ながら解き進めました。時間配分の感覚を何も得ることが出来ませんでした。

 絶起したら「た た き お こ す よ☄*5」をされるそうなので、早めに寝ます。ということで23時半くらいに就寝。day1終了です。

 

day2

 絶起回避です。えらいね。叩き起こされた人もいたそうです。day2の午前中に試験が行われるので、試験会場へバスで移動します。このときのバスは大型バス×3台で広々としていました。

 day1の夜にコンビニまで歩いた時も思いましたが、バスの窓外を見ているとつくばが平なことがよく分かりました。何となく図録を開いたりTwitterを開いたりしているうちに試験会場に到着です。なんとびっくり、お寿司屋さんです。今年はお寿司屋さんで試験を受け昼食をとるそうです。お昼が期待できますね。

 さて、いよいよ試験です。時間的なウェイトが小さいので忘れがちですが、僕たちは本選試験を受けにつくばまで来ています。今年の形式は「地質・固体地球・気象・海洋・天文および化石・岩石・鉱物の鑑定(5分ずつ)をあわせて3時間で解く」というものでした。過去問だと分野別に30分ずつだったのでちょっと変わっていました。これを聞いた時点で、作図に時間がかかりそうな地質や問題が重たいと聞く気象に時間を割こうかな、と思います。解答用紙が先に配られたので解答欄をサッと眺めると、固体地球と海洋が表面のみだったのでこれらから解くことにしました。時間が足りずに埋めきれないのが一番悔しいので急ぎめで解こうと思います。

 いざ、試験開始です!会場の時計はどれもとても小さかくて見にくかったので、腕時計の針を見て時間管理しながら解き進めます。以下感想です。

 

  1. 固体地球  15分で解きました。記述で地殻の「殻」の字をど忘れして焦ったけど問題文中に地殻熱流量というワードを見つけたので助かりました。計算はひたすら単位に慎重になっていました。mとkmが混在しているの、簡単にオーダーが狂うから困ってしまいます。
  2. 鑑定  5分ずつ3種類です。えっと、無理です、分かりません、お手上げです。
  3. 海洋  15分で解きました。特に感想は無いです。
  4. 天文  20分で解きました。星形成率の見積もり計算です。こういう、あまり見たり計算したりしたことのない概念を説明とともに与えられて、頑張って読み取って計算する問題は好きです。間違っていたら悲しいです。配布されていた電卓が初めて活躍しました。
  5. 地質  25分で解きました。解答用紙に作図用の図があったけど、ほとんど作図しませんでした。断面図も書こうか悩んだけど書きませんでした。等高線の値の大小を読み違えて傾斜の南北を逆にしました。だめです。
  6. 気象  この時点で1時間半余っていることに気づいたので、ゆっくりと45分かけて解きました。天文のところでも述べましたが、計算パートは楽しかったです。知識が無いので記述を求められても困るという見方もできます。

 

 

 一応全部解き終わった時点で45分余っており、さすがに暇を感じながら全ての問題を見直します。とはいえ、基本的には汚い字を綺麗に書き直す作業ばかりでした。言い訳すると、文字をたくさん手書きするのは10日ぶりくらいでした。採点者の方、読みにくい字でごめんなさい……。ところで、残り時間が10分を切ったあたりで、有効数字2桁指定の問題全てで3桁まで書いていることに気が付いたので、慌てて修正しました。数を数えられないタイプの人です。

 さて、試験が終わりました。終わったことを気にしても仕方がないのでお昼ご飯を楽しみにします。お弁当が配られます。ハンバーグでした。試験会場はお寿司屋さんでしたが、お昼ご飯はお寿司じゃありませんでした。そんな……。この時にどこかでエンカ会が発生していたらしいです。

 地質の話を聞きつつお昼を食べた後は、待ちに待った施設見学です。僕は地質標本館*6のほうに行きました。もう1グループは科学博物館*7です。てっきり上野まで見に行っているのかと思っていたら、つくばにある研究所の方を見学していたそうです。楽しそう。地質標本館の見学では、時々「あっ、さっきの鑑定の鉱物の答えはこれじゃん……」みたいに思い出して勝手に刺されていました。地質標本館の方が質問に答えてくださったり話しかけてくださったりして、周りも地学好きばかりなので楽しく見学できました。ありがとうございました。

 すでに試験と見学を終えましたが、day2はまだまだ続きます。夕食後にはOBOGの方々がお話してくださりました。自分の興味関心のある研究に携わっている方々の来歴とか普段の生活とか、とても興味深かったです。とても影響を受けやすい人間なので、情報分野だけじゃなくて地学分野にも関われたら楽しいのかな、と思い始めました。

 そして、day2の最後(からday3の最初にかけて)に他の参加者と交流しました。感染対策に気を配りつつ、参加者に配られたプレートテクトニクストランプで遊んでいました。ババ抜きを少ししてから、3時間くらい大富豪してました。楽しかったです。石を持ってきている人もやっぱりいて、JESOだ……!となっていました。あと、人工衛星及びその擬人化キャラ*8についての魅力を語られました。熱意がある人や何かをとても好きな人の話を聞くの、聞いている側もわくわくするから楽しいです。これぞ交流。

 無限に交流したいですが、やっぱり絶起は避けたいので切り良いところで切り上げて3時には寝ました。とても濃いday2でした。

 

day3

 最終日です……。何とか朝起きて制服を着ることに成功しました。朝食を食べた後は荷造りRTAです。それをクリアしたらつくばカピオ*9の周りのお散歩タイムです。どうしてここに池があるの?という話を聞いたり、花崗岩と泥岩砂岩の境界を見たりしました。教科書や資料集だと分かりやすいものばかりが例示されていますが、それを眺めるばかりでは実物を見たときに中々すぐには見抜けませんでした。

 お散歩も終わり、多くの参加者にとっては最後のイベントとなる表彰式の時間がやってきました。とても裏口感のあるところからつくばカピオ待合室に通されました。対策が十分じゃなかったのと、周りから聞こえてくる答えのすり合わせ会話によって僕の間違いが続々と明らかになっていたこともあり、上位の賞は期待していませんでした。だから気楽に表彰式会場へGOです。

 とは言ったものの、いざ会場に着くと雰囲気厳かで緊張しました。写真を撮るのが下手なので、「地学オリンピック 表彰式」みたいな文字列が反射で見えなくなってますね。

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 表彰式みたいな式典、よくお偉いさんが長々と話しているのをうへーと思いながら聞いているんですが、今回はそんなことはありませんでした。気になっていた賞の発表の流れは、特別賞(中学生1位、鑑定1位、女子1位)→銅賞→銀賞→金賞→総合2位→総合1位でした。寝不足のせいで自分の名前を聞き逃したらどうしよう、と思っていたけどお散歩のおかげで目は覚めていました。

 ついにこの時がやってきました、銅賞から金賞の発表です。どきどきわくわくです。10名ずつ発表で、銅賞は20名なので2組に分けての発表です。1組目の10人で呼ばれず、半ばほど無念……という気持ちになっていましたが、2組目で名前を呼んでいただけて内心躍り上がっていました。ガッツポーズしかけたけど雰囲気が雰囲気なので自重しました。3日間の交流で顔と名前が一致していた方が壇上に上がるのを見て、自分事のように喜んでいました。

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ピント合ってなくない?写真を撮るのが下手ですね。

 

 あらためて、金賞・銀賞・銅賞・特別賞を受賞された方々、おめでとうございます!特に金賞の方々は、そのあとの代表最終選抜もお疲れさまでした。この文章を書いている時点では結果は未発表ですが、(書き終わる前に発表されました)あの60人の中で上位10人に残るの、すごすぎます。

 これにて、僕の第14回日本地学オリンピックは終了となりました。来年度は受験生なので、最初で最後の地学オリンピック本選でもありました。もっと前から参加したかったですね。

 これで終了なんて残念です、名残惜しいです。ということで、day3の午後は他の4名の参加者の方とつくばカピオの近くにあるつくばエキスポ*10に行ってきました。

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これがとても目立つので辿り着きやすかったです

 本選参加者はつくばエキスポの招待券を頂いていました。ありがとうございます!大きなプラネタリウムを見たり、錯視展を見たり、常設にある様々な展示を楽しんだりしました。本当はここに併設されているカフェで昼食をとろうと思っていましたが、土日祝しか営業しておらず、day3は閉まっていました。ということで昼食は逃しました。来年以降の参加者は気を付けてください。ショップで鉄隕石を入れて持ち運べるお守りを売っていたので購入しました。学校の制カバンにでもつけようと思います。

 本当に名残惜しいけど、帰らないといけないので、5人で写真を撮ってからつくばエクスプレス秋葉原駅へGOです。6時ぐらいに解散しました。同世代の人とこんなに楽しく交流したのは初めてかもしれません。みんな良い人ばかりでした。

 

学んだこと

  • この名前、会ったときに名乗るのがちょっと恥ずかしいです
  • ほとんどの人がTwitterやってます。一堂に会してTwitterしてる瞬間もありました
  • 知識を体験に昇華させることが大事そうです。鑑定試験とかまさにそうです
  • 定規や電卓などは同じものが配布されるので持っていなくても安心です
  • 鉛筆や消しゴムは配布されないので忘れないようにしましょう
  • 参加者はほとんどみんなが交流したがっているので、勇気を出して交流を提案してみましょう

 

結果発表

 上のパートを書き終わったところで結果発表がなされていることに気が付きました。僕の名前も書かれていますが本名特定はしないでください。親しく交流させていただいていた方が代表になっていてとても嬉しかったです。代表の4名の方、おめでとうございます!そして国際大会に向けて頑張ってください!

 

本選参加者へ

 ここまで読んでいただいた方は既にお気づきでしょうが、この記事は駄文純率100%でお届けしています。特に対策のあたり。後続の人のためにも、ぜひ体験記みたいなのを書くと良いんじゃないかと思います。どんな教材を用いたか、鑑定はどう対策したか、おすすめの地学スポット/施設はどこか、などなど参考になることは沢山ありそうです。僕は読みたいです。

 

以上!

 本選終了翌日の夜という鮮度微妙な記事ですが、何とか書き終わりました。7000文字もあってびっくりです。7000文字の論集にあんなに苦労していたのに……。

*1:啓林館「地学」改訂版

*2:浜島書店「ニューステージ 地学図表」

*3:とても面白いオープンワールドRPG ぜひプレイしましょう!

*4:数研出版「フォトサイエンス 地学図録」

*5:https://twitter.com/JESO_obg/status/1503128771880050689

*6:地質標本館 - 産業技術総合研究所 地質調査総合センター

*7:国立科学博物館 National Museum of Nature and Science,Tokyo

*8:たしか、『現代萌衛星図鑑』というやつです。可愛いキャラだけじゃなくて、しっかり文章の説明もたくさん載っていました

*9:科学の甲子園が予定通り現地開催が出来ていた場合の会場なので、オンライン開催になった悲しみをちょっと思い出していいました

*10:つくばエキスポセンター